有馬公認会計士・税理士事務所運営
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小規模宅地等の特例とは、個人が相続又は遺贈により取得した財産のうちに、当該相続の開始の直前において、当該相続若しくは遺贈に係る被相続人又は当該被相続人と生計を一にしていた当該被相続人の親族(「被相続人等」)の事業の用又は居住の用に供されていた宅地等(土地又は土地の上に存する権利をいう。)で建物又は構築物の敷地の用に供されているもののうち政令で定めるもの(「特例対象宅地等」)がある場合には、当該相続又は遺贈により財産を取得した者に係る全ての特例対象宅地等のうち、当該個人が取得をした特例対象宅地等又はその一部でこの項の規定の適用を受けるものとして政令で定めるところにより選択をしたもの(「選択特例対象宅地等」)については、限度面積要件を満たす場合に限り一定割合を減額できる制度です。
小規模宅地等の特例を見ていくとあちこちで「被相続人等」という単語が出てくるため理解しておく必要があります。
被相続人等なので、相続発生で小規模宅地等の特例が適用されるのは何も被相続人が所有し、かつ使用している宅地のみでなく、被相続人が所有し「等」に該当する者が使用している宅地も含まれることが分かります。
ここでいう被相続人等とは被相続人又はその被相続人と生計を一にしていたその被相続人の親族(生計一親族)を指します。
ちなみに親族とは民法でいうところの(1)6親等以内の血族(2)3親等以内の姻族(3)配偶者を指します。
なお、血族とは血のつながりがある自身の子や孫、父母、祖父母等の身内(養子も含む)で、姻族は配偶者の身内で、カウント方法としては上の世代に一度戻って何親等かカウントします。例えば兄弟姉妹の場合、家系図を見ると一度父母に戻らないと他の兄弟姉妹に辿りつけないので2親等といった具合です。
特定事業用宅地等及び特定同族会社事業用宅地等をA
特定居住用宅地等をB
貸付事業用宅地等をCとすると
平成27年1月1日以後の相続・遺贈
A×200/400+B×200/330+C≦200㎡
ただし、貸付事業用宅地等がない場合は、
特定事業用宅地等及び特定同族会社事業用宅地等で400㎡
特定居住用宅地等で330㎡ 貸付事業用宅地等がある場合のように調整計算することなく適用できます。
なお、平成26年12月31日までの相続・遺贈については
A+B×5/3+C×2≦400㎡ となります。
特定事業用宅地等及び特定同族会社事業用宅地等(A)、特定居住用宅地等(B)、貸付事業用宅地等(C)と所有し、限度面積を超えてしまう場合、どの宅地等を選択すれば迷うことになります。
貸付事業用宅地等がない場合は、特定事業用宅地等、特定同族会社事業用宅地等で400㎡、特定居住用宅地等で330㎡だけの面積が完全併用できるためそれぞれで最も単価が高い宅地等を選択すればよいことになります。
次に貸付事業用宅地等がある場合、減額割合と限度面積を加味すると
①貸付事業宅地等と特定事業用宅地等及び特定同族会社事業用宅地等がある場合
200×C×50%=400×A×80%を解くとC=3.2Aのため
貸付事業用宅地等の単価が特定事業用宅地等、特定同族会社事業用宅地等の3.2倍以上であれば貸付事業用宅地等を選択したほうが有利
➁貸付事業宅地等と特定居住用宅地等がある場合
200×C×50%=330×B×80%を解くとC=2.64Bのため
貸付事業用宅地等の単価が特定居住用宅地等の2.64倍以上だと
貸付事業用宅地等を選択したほうが有利になります。
特に生計一親族についてですが、被相続人が所有し、使用している場合の小規模宅地等の特例の条件としては「使用貸借」でなければならないことになっています。
「使用貸借」というのは、分かりやすく言えば無料で使用していることで、「賃貸借」は有料で使用していることを言います。
但し、支払い金額が実費の支払い程度であったり、実費を上回っていても支払金額が軽微であると自身では賃貸借だと思っていても使用貸借と判断されてしまう可能性があります。
どれだけの金額を支払えば良いのか法律上に決まりはありませんが、周辺相場などから判断していくなど方法を考えていく必要があります。
例えば、生計一親族が被相続人の宅地等で使用貸借で事業を行っていれば生計一親族が事業を行っていることになり、生計一親族が被相続人の宅地等で事業を行っていても賃貸借で被相続人に正当な賃料を払ってればそれは被相続人の事業(不動産の貸付)ということになって小規模宅地等の特例の宅地の区分は異なってしまいます。