有馬公認会計士・税理士事務所運営
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取引所の相場のない株式とは、上場株式及び気配相場のある株式以外の株式をいい、大部分の会社の株式は取引所の相場のない株式に該当します。
取引所の相場のない株式は、上場株式に近いものから、個人事業主と変わらない規模のものまでさまざまなため、次の通りに評価することとされています。
①上場会社に匹敵するような大会社については、上場会社と同様に評価すべきため、原則として類似業種比準方式により評価します。
➁個人事業主と変わらないような小会社については、個人事業主と同じように評価することが合理的なため、原則として、純資産価額方式により評価します。
③大会社と小会社の中間にある中会社については、大会社と小会社評価方式の併用方式によって評価します。
ただし、株主の中でも事業への影響度が少ない同族株主の一部や従業員株主などについては、配当を期待するのみであるため、原則として特例的評価方式である配当還元方式を採用することにより評価することとされています。
上記の大会社、中会社、小会社の基準は
・従業員数
・直前期末以前1年間の取引金額
・直前期末の総資産価額
を基にして決定します。
なお、この規模の判定は平成29年1月1日以後に相続、遺贈または贈与によって取得した株式等から改正されていますので、以下では改正後のものを記載しています。
規模区分 | 区分の内容 | 総資産価額(帳簿価額によって計算した金額)及び従業員数 | 直前期末以前1年間における取引金額 | |
大会社 | 従業員数が70人以上の会社又は右のいずれかに該当する会社 | 卸売業 | 20億円以上(従業員数が35人以下の会社を除く。) | 30億円以上 |
小売・サービス業 | 15億円以上(従業員数が35人以下の会社を除く。) | 20億円以上 | ||
卸売業、小売・サービス業以外 | 15億円以上(従業員数が35人以下の会社を除く。) | 15億円以上 | ||
中会社 | 従業員数が70人未満の会社で右のいずれかに該当する会社(大会社に該当する場合を除く。) | 卸売業 | 7,000万円以上(従業員数が5人以下の会社を除く。) | 2億円以上30億円未満 |
小売・サービス業 | 4,000万円以上(従業員数が5人以下の会社を除く。) | 6,000万円以上20億円未満 | ||
卸売業、小売・サービス業以外 | 5,000万円以上(従業員数が5人以下の会社を除く。) | 8,000万円以上15億円未満 | ||
小会社 | 従業員数が70人未満の会社で右のいずれにも該当する会社 | 卸売業 | 7,000万円未満又は従業員数が5人以下 | 2億円未満 |
小売・サービス業 | 4,000万円未満又は従業員数が5人以下 | 6,000万円未満 | ||
卸売業、小売・サービス業以外 | 5,000万円未満又は従業員数が5人以下 | 8,000万円未満 |
大会社の株式の価額は、最初に記載している通り、類似業種比準価額によって評価します。
しかし、納税義務者の選択により1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)によって評価することもできます。
中会社の株式の価額は、次の算式の通り類似業種比準方式と純資産価額方式を併用した併用方式で評価します。
類似業種比準価額×L+1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)×(1-L)
ただし、類似業種比準価額の部分は納税義務者の選択により1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)によって評価することもできます。
上の算式中の「L」は、評価会社の総資産価額(帳簿価額によって計算した金額)及び従業員数又は直前期末以前1年間における取引金額に応じて、それぞれ次に定める割合のうちいずれか大きい方の割合とするとされています。
イ総資産価額(帳簿価額によって計算した金額)及び従業員数に応ずる割合
卸売業 | 小売・サービス業 | 卸売業、小売・サービス業以外 | 割合 |
4億円以上(従業員数が35人以下の会社を除く。) | 5億円以上(従業員数が35人以下の会社を除く。) | 5億円以上(従業員数が35人以下の会社を除く。) | 0.90 |
2億円以上(従業員数が20人以下の会社を除く。) | 2億5,000万円以上(従業員数が20人以下の会社を除く。) | 2億5,000万円以上(従業員数が20人以下の会社を除く。) | 0.75 |
7,000万円以上(従業員数が5人以下の会社を除く。) | 4,000万円以上(従業員数が5人以下の会社を除く。) | 5,000万円以上(従業員数が5人以下の会社を除く。) | 0.60 |
(注) 複数の区分に該当する場合には、上位の区分に該当するものとされています。
ロ 直前期末以前1年間における取引金額に応ずる割合
卸売業 | 小売・サービス業 | 卸売業、小売・サービス業以外 | 割合 |
7億円以上30億円未満 | 5億円以上20億円未満 | 4億円以上15億円未満 | 0.90 |
3億5,000万円以上7億円未満 | 2億5,000万円以上5億円未満 | 2億5,000万円以上4億円未満 | 0.75 |
2億円以上3億5,000万円未満 | 6,000万円以上2億5,000万円未満 | 8,000万円以上2億円未満 | 0.60 |
小会社の株式の価額は、最初に記載している通り、1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)によって評価します。
しかし、納税義務者の選択により上記のLの割合を0.5として上記の算式で評価した金額で評価することができます。
1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)
ですが、議決権の割合が50%以下である同族関係者グループに属する株主(同族株主がいない会社の株主のうち15%以上の議決権割合を有する同族関係者に属する株主を含む)に関しては算定された価額の80%評価をすることとされています。
これは、、議決権の割合が50%以下の場合、1つの株主グループでは会社を完全支配しているとはいえず、完全支配している場合に比べて影響力が小さいことを評価額に反映させるためです。
ただ、
類似業種比準価額に代えて納税義務者の選択により1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)によって評価することもできます。
となっている部分は80%評価できないことには注意が必要となります。