有馬公認会計士・税理士事務所運営
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取引所の相場のない株式を評価する場合の純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)の評価方法は、次の算式によることとなっています。
1株当たり純資産価額=(総資産価額(相続税評価額によって計算した金額)-負債の合計額-評価差額に対する法人税額相当額)÷課税時期における発行済株式数
なお、議決権の割合が50%以下である同族関係者グループに属する株主(同族株主がいない会社の株主のうち15%以上の議決権割合を有する同族関係者に属する株主を含む)に関しては算定された価額の80%評価をすることとされています。
また、1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)の計算を行う場合の「発行済株式数」は、直前期末ではなく、課税時期における発行済株式数であるとされており、自己株式は除かれます。
1株当たり純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)は評価会社の課税時期現在における各資産および各負債の金額によることとされています。
その考えに従うと課税時期と決算日が異なる場合、課税時期現在において仮決算を行わなければならないことになります。
しかし、評価会社が、仮決算を行っていないため、課税時期現在における各資産および各負債の金額が明確でない場合で、直前期末から課税時期現在までの各資産および各負債について著しい増減がないため評価額の計算において影響が少ないと認められるときは、課税時期における各資産および各負債の金額は、直前期末の各資産および各負債を基として計算して差し支えないものとされています。
評価差額に対する法人税額等相当額は、次の算式で計算します。
評価差額に対する法人税額等相当額=(相続税評価額による純資産価額-帳簿価額による純資産価額)×37%(注)
(注)法人税額等相当額は、法人税の税率改正に伴う実効税率の変更に伴い、以下のように変遷があります。
適用時期 | 法人税額等相当額 |
平成28年4月1日以後 | 37% |
平成27年4月1日から平成28年3月31日 | 38% |
平成26年4月1日から平成27年3月31日 | 40% |
平成24年4月1日から平成26年3月31日 | 42% |
平成22年4月1日から平成24年3月31日 | 45% |
評価会社が課税時期前3年以内に取得又は新築した土地及び土地の上に存する権利(土地等)並びに家屋及びその附属設備又は構築物(家屋等)の価額は、課税時期における通常の取引価額に相当する金額によって評価するものとされています。
そのため、本来であれば評価会社が所有している土地等や家屋等は個人の事業用資産と同様の方法で評価すべきですが、課税時期前3年以内に取得又は新築した土地等及び家屋等を通常の取引で取得したと認められるのであれば帳簿価額で評価することになります。
評価会社の各資産の価額は個人の事業用資産と同様に評価することになりますので、帳簿価額がない、無償取得の借地権、特許権、営業権についても評価する必要があります。一方で、帳簿価額があっても財産性がない資産は0評価になります。
総資産価額(帳簿価額によって計算した金額)は、総資産価額(相続税評価額によって計算した金額)の計算の基礎となった評価会社の各資産の帳簿価額の合計金額になります。
この場合の帳簿価額は、例えば減価償却超過額がある場合は当該超過額を加算して計算した金額にするなどの税務上の帳簿価額となります。
貸倒引当金、退職給与引当金(平成14年改正法人税法附則第8条((退職給与引当金に関する経過措置))第2項及び第3項の適用後の退職給与引当金勘定の金額に相当する金額を除く。)、納税引当金その他の引当金及び準備金に相当する金額は負債に含まれないとされています。
→これは、個人の債務については確実な債務に限り債務控除とすることとバランスをとるためと考えられています。
一方で以下の負債は負債に含まれるとされています。
①課税時期の属する事業年度に係る法人税額、消費税額、事業税額、道府県民税額及び市町村民税額のうち、その事業年度開始の日から課税時期までの期間に対応する金額(課税時期において未払いのものに限る。)
➁課税時期以前に賦課期日のあった固定資産税の税額のうち、課税時期において未払いの金額
③被相続人の死亡により、相続人その他の者に支給することが確定した退職手当金、功労金その他これらに準ずる給与の金額
評価会社が取引所の相場のない株式を所有する場合、当該株式の1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)は、当該株式の発行会社の課税時期における各資産の合計額から課税時期における各負債の金額の合計額を控除した金額を課税時期における当該株式の発行会社の発行済株式数で除して計算した金額とするとされています。
評価差額に対する法人税額等相当額を控除しないという点で相違点があります。
なお、評価会社が有する資産に出資及び転換社債型新株予約権付社債がある場合も同意とされています。
取引所の相場のない株式を原則的評価方式で計算した場合において、課税時期との間で配当があった場合や株式の割り当て等があった場合、その価額をそのまま利用するのは妥当ではないため、以下の算式で修正を行います。
①直前期末の翌日から課税時期までの間に配当金交付の効力が発生した場合
取引所の相場のない株式の評価の原則の定めにより計算した価額-株式1株に対して受ける予想配当の金額
➁直前期末の翌日から課税時期までの間に株式の割当て等の効力が発生した場合
(取引所の相場のない株式の評価の原則の定めにより計算した価額+割当てを受けた株式1株につき払い込んだ金額×株式1株に対する割当株式数)÷(1+株式1株に対する割当株式数又は交付株式数)